就活で何が1番怖いかと聞かれれば、やはり「面接」ではないでしょうか。
受験から解放され、緩み切った気持ちでキャンパスライフを謳歌する半ばに訪れる就活。
どんなに楽しく過ごしていても、企業の大人に面接でジャッジされるということを想像するだけで、心にサッと影が落ちてしまう…。
そんな就活生の方が沢山いらっしゃるかと思います。
周りを見渡せば、自分より早くから念入りに対策を始めて、準備万端という人がいる。論文で賞を取った人もいれば、留学から帰ってきて、英語がペラペラな人もいる。
それに引き替え、自分はこの数年、遊んでばかりで何をしていたんだろう…。
後悔の念と憂鬱な気持ちは、どんどん増していくばかりです。
かく言う私も、数年前は都内の大学で同じように就活を恐れている一人でした。
周りが積極的に説明会などに参加しはじめた頃、のんきにちょっと長めの海外旅行に行ってしまったせいで、帰ってきたときには浦島太郎状態。
みんなが立派に就活生の顔になっているのを見て、焦りが募るばかり…。
それでも何とか就活を乗り切り、現在は広告プロデューサーとして働いている私から、当時を振り返って、面接を通して気づいた大切なことをお伝えできればと思います。
1、自分の強みを無理やり押し付けない
私にとって、人生最初の面接はとある玩具メーカーのものでした。
やっとエントリーシートが通ったのは嬉しかったけれど、面接に行くのが怖くて、通らない方が良かったかも…と謎にネガティブになってしまうほど緊張していました。
実は、留学経験があり英語には自信があった私。緊張で回らなくなった頭で、とにかく自分の強みは伝えきって帰ろう!と決意しながら順番を待ちました。
そして迎えた本番。「1分程度で自己紹介をしてください」との定番の質問に、大学では留学もして英語が得意だという内容を膨らませて答えました。
恐らく、ここまでは良かったのですが…。その後「この会社に入って何がしたいか」「自分のどんなところが貢献できると思うか」といった質問の全てに「英語を活かして外部に製品の良さを伝えていきたい」「英語を使って海外との取引に貢献できる」など、全てを英語に結び付けて答えていきました。
その結果、最後に面接官に言われた一言は「では、おもちゃに関わることをやりたい、というよりも英語を活かしたいのですね…」というもの。
当時の私は、その言葉の意味にも気づかず、自信満々に「はい!」と答えました。
今ならわかります。英語が人よりできる、という事実は確かに強みではありますが、それだけで選ばれるほどの絶対的な効力はないのです。
英語はできるけれど、その会社独自の製品や事柄への結びつきが弱い人と、英語なんか全くできないけれど、その会社がやっていることへの熱意やアイデアがある人。
比べれば、後者の方がずっと魅力的です。
当たり前のようですが、意外と初期に陥りやすい失敗だと思います。
自分の中で思う強みばかりにとらわれず、ご自身をあらゆる角度からアピールしていただきたい。
そのためには、自分を一度多角的な視点で見つめ直し、面接を受ける会社との親和性や伝えたいことを整理してから望むように心がけてみていただきたいです。
2、本当の強みを理解する
前述のように、英語という強みだけではなかなか突破できなさそうだと気付いた私は、その他の自分の強みは何かと考え始めました。
- ・ボランティア活動に参加したことがあり、社会活動への意識が高い
- ・入学以来同じバイトをずっと続けている
- ・物怖じせずに挑戦できる
など、色々考えましたが、どれもいまいちだったり、うまく自分自身を表わせていない気がしました。
ボランティアはたった2回しか参加したことがないし、同じバイトを続けているから何なのだ、という感じ。
面接受けしそうな、「ぽい」ことを並べているだけで、それは自分の上っ面の「そうとも取れる」要素をさらっているだけの作業でした。
最後の、物怖じしないというポイントは、面接で緊張しまくっている私からは1mmも感じ取れない要素なので、面接官にも「言っていることと違うね」と言われてしまう始末…。
いずれも、自分の本質ではなかったのです。
結局のところ、自分が自信をもって「自分はこうだ!」と言えることしか語れないし、相手にも響かないことに気づき、突き詰めた結果、私の結論は下記でした。
「私は体調をめったに崩さず、ボランティアで発展途上国に行った際にも日本人メンバーでただ一人お腹を壊さなかった。
体力には自信があるので、あらゆる仕事を前向きに元気にやっていけると思う」
特殊な技能や経験について語っているわけではない、至極シンプルな内容です。
でも、堂々と言ってのけられるメッセージでした。
この自信こそ、面接で最も重要なもののひとつだと思います。
伝える前に頭がごちゃっとしてしまうような小難しい綺麗ごとは早めに捨てて、自分自身を研ぎ澄ました先にあるシンプルな結論や思いを探すことをおすすめします。
3、就活の面接は怖いけど、真摯に向き合ってみよう
今回お伝えした2つのポイントは、ともすれば当たり前と思われてしまうような内容だったもしれません。
しかし、就活を無事に終えて社会人として働く今、就活とは、自分の本質と企業の本質がマッチするのかを擦り合わせる過程で、自分自身を再発見していくことだったと思うのです。
就活を通して気づいた自分の本質は、それが受け入れられたのだという自信となって、ずっと生き続けています。
だから、自分を知るということを疎かにしないで、一度腰を据えて面接に向き合ってみてください。
最初は失敗するかもしれないけれど、だんだん言いたいことが研ぎ澄まされていくはずです。それはきっと、一生の宝物になりますよ!